2018/6/19

大学入試数学を固めるのにかかる時間

前回、ほぼゼロから大学入試化学を固めるのに必要な時間について書きました。

今回は理系の受験生にとっては最重要な数学について、書いていきたいと思います。

「これまで定期テスト対策すらちゃんとやってこなかったので、ほぼゼロの状態なんですが、これから本格的に、大学入試に向けて頑張りたいと思います。間に合いますか?」

このように素直に言って下さる方はまだよいのですが、実際には、何も言わずにスタートしてみたら、講師が「典型問題が全然できない・・・」と気づくケースの方が多いです。
例えば、下記のような状況を想定してみます。

「青チャート」にあるような典型問題の正答率が50%以下の状況から、国公立大学医学部を目指す

当塾ではよくあるケースですが、ある種、究極的とも言える大変なケースです。

この場合、まずやらなければならないことは、典型問題を全て解ける状況に持って行くことです。多くの受験生が使用している「青チャート」を例にとって話を進めてみたいと思います。(実際に使用する問題集の候補としては、「青チャート」の他「フォーカスゴールド」「ニューアクション」などがあります。このセレクトは、解説の分かりやすさなどの好みでよいと思います)
まず、章の数を数えてみましょう。

【数学ⅠA】7章
【数学ⅡB】11章
【数学Ⅲ】8章
【合計】26章

もし当塾の個別指導をベースにして基本知識の確認から丁寧に進めて行く場合、1章進むのに、平均で授業3回、もしくはペースを上げた場合は2回程度を要します。両方のパターンでシュミレーションしてみましょう。

 

 

 

 

 

 

 

①1章を進むのに授業3回分かかる場合(※理解に時間がかかる生徒さん)
全範囲を1周するのに、

26章×3回=78回

の授業が必要となります。週1回につき授業1回で考えた場合、78週かかる計算です。1カ月=4週とすると、78÷4=19.5カ月かかります。途中で復習回を入れたり、苦手分野は思うように進まないことも想定すると、約20カ月かかります。

当然、1周しただけで模試で結果を出すことは難しく、2周目、3周目をしてようやく定着してきます。2周目は、1周目で間違えた問題を解いていくとして、半分のペースを想定します。同様に、3周目は2周目の半分とすると、下記のようになります。

【1周目】20カ月
【2周目】10カ月
【3周目】5カ月
【合計】35カ月

すると、なんと、約3年弱かかってしまいます!これでは、高校1年からスタートしても入試に間に合わない計算になってしまいます。ですので、1章進むのに授業3回を要する生徒さんの場合は、週に2回の授業を受けていただく形をおすすめしています。

そうすると、下記の計算となります。

<週1回につき授業2回>

78÷2=39週
39週÷4=9.75カ月→約10カ月

【1周目】10カ月
【2周目】5カ月
【3周目】3カ月
【合計】18カ月

約1年半ですね。高校2年の4月から開始すれば、高校3年の9月に青チャートが固まる計算です。10月からは過去問演習という流れです。先ほどと比べて、悪くないペースですが、それでも国公立大学医学部合格を目指すとすると、心もとないペースではあります。

ちなみに、国公立大学医学部を目指す場合、いつまでに青チャートを完璧にすればよいのか?という最も大切なことを書くのを忘れていました。これは、できれば高3の3月までが理想と思います。このリミットに向けて青チャートを進める前提で、以下の話を進めて行きたいと思います。

さて、①よりもう少し早いペースを考えてみましょう。

②1章を進むのに2回かかる場合(※理解が早い生徒さん)
全範囲を1周するのに、

26章×2回=52回

の授業が必要となります。
ここからは、<週1回につき授業1回><週1回につき授業2回>の両方でシュミレーションしてみたいと思います。

<週1回につき授業1回で考えた場合>

52週かかる計算です。1カ月=4週とすると、52÷4=13カ月かかります。

こちらも、3周すると考えると、下記のようなペースになります。

【1周目】13カ月
【2周目】7カ月
【3周目】4カ月
【合計】24カ月

ちょうど2年です。高3の3月までに終わらせるには、高1の4月からスタートしないと間に合わないことになります。これでしたら、仮に(個別指導ではなく)自習だけで進める場合も毎日2時間程度の勉強で無理なくできる量のはずです。

それでは、すでに高1の4月を過ぎてしまっている方の場合、週1回につき授業2回のぺースで考えましょう。

<週1回につき授業2回で考えた場合>

26週かかる計算です。1カ月=4週とすると、26÷4=6.5カ月かかります。余裕を持って約7カ月としておきましょう。

こちらも、3周すると考えると、下記のようなペースになります。

【1周目】7カ月
【2周目】4カ月
【3周目】2カ月
【合計】13カ月

今までの話では最短の期間になりました。1年強です。これでしたら、高3の3月までに終わらせるにも、高1終わりの3月から開始すればギリギリ間に合う計算となります。

ちなみに、これは1週間で1章を進めるペースです。1章=30~60問程度ですから、多い場合でも毎日10問程度解いていけば終わる計算です。個別指導を前提として書いてきましたが、自習でも同様に進めてもらえればと思います。

長々と書いてしまいましたが、一番言いたかったことは、入試日というリミットから逆算して計画を立てることが最重要です。

と言うのは、「国公立大学医学部合格」という高い目標を掲げるものの、それに向けて具体的な計画を立てておらず、漫然と勉強をする生徒さんにこれまで多く出会ってきたからです。国公立大学医学部に向けて、マスターしておくべき必要最低限の問題数というのは確実に存在しています(もちろんそれで十分とは言えませんが・・・)。それに向けて、早めに具体的な計画を立てて準備をすることは必須だと認識してください。

高校3年生(または浪人生)の3~6月の間に、入塾を検討している生徒本人または保護者様から「週1回の授業で国公立大学医学部に合格させてくれますか?」というご質問をいただくことが度々あります。もちろんその際の模試結果またはセンター試験の得点や典型問題集の演習度合いを指標に回答させていただくのですが、数学ですと、青チャート例題レベルで80%の正答率が取れない段階からでしたら「週2回以上受けていただいても現役合格には間に合いません」と言わざるを得ません。

それをお伝えすると、愕然とされて、そこから音沙汰がなくなってしまうケースも少なくありませんが、受講前にコンセンサスを得るのは中長期的に信頼関係を構築していくために必要不可欠と考えていますので、私は率直にお伝えするようにしています。

 

<この記事に登場する参考書>
『チャート式』
基礎からの数学I+A
基礎からの数学Ⅱ+B
基礎からの数学III+C

究進塾代表 : 並木陽児

大学受験生に化学を教えています。趣味は読書と野球観戦(ベイスターズファン)、カレー食べ歩き、子供の遊び場開拓。1児の父として子育てしていることから、最近は幼児教育にも関心を持っています。

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