2019/8/7

投票率の低さと教育の関係を考える

先日(2019年7月21日)に参議院選挙が行われました。投票率は48.80%で、24年ぶりに50%を割ったそうです。国別でみても、(前回2016年のデータですが)OECD36か国中30位でした。今回の投票率はさらに低い順位となり得る数字です。

これは、国民の半分以上が民主主義の権利を行使していないということで、政治が自分の生活とほど遠いものと感じている証でもあり、よい傾向とは言えません。

理由については、様々な要因があり、議論もされていますが、ここでは「教育」に注目してみたいと思います。比較対象として、国政選挙の投票率が87.2%(2018年)と高いスウェーデンに注目してみたいと思います。

日本では、小学校6年から「公民」分野を学ぶことになっています。ただ、私が中学受験をした記憶では、衆議院の定員や任期など、穴埋め形式の暗記問題が多く、「覚えることばっかりだな~」「自分とは関係ない話だな」という印象で、正直なところ全然興味を持てませんでした。

その時期から30年近く経っていますが、現在の小学校の教科書や中学受験の問題集も基本的には大幅な変更はなく、暗記をベースとした知識問題がとにかく多い印象です。

対して、高い投票率のスウェーデン。小学校の社会科の教科書には「社会には法律や規則があって、私たちはそれに従わなければならない」という文章に続いて、「しかし、すべての社会は変化するので、法律や規則は変わるものであり、自分がそれを変えたいと思えば、そのように努力すべきである」と書かれているそうです。

これは日本の教育の中でどっぷりと浸かって育った私には衝撃的でした。

そして、「社会」「メディア」「経済」「権利」「政治」といったテーマについて、考え、議論するような質問が多く載っています。

一例ですが、下記のような質問項目があります。

・道路に自転車専用道を設けることにはどのような利点と欠点がありますか?
・なぜお金は大切なの?
・本当にお金持ちの人は、まだ何か夢を持っているのでしょうか?
・何がいじめなのでしょうか?
・この国は軍事防衛によりお金を使うべきでしょうか?それとも保育園や学校に使うべきでしょうか?
・この国では誰がもっとも権力を持っているのでしょうか?
・もしアメリカで半分以上の人々が自分の選挙権を使わず、大統領を選ばないという選択をしたら、アメリカの民主制にとって、どのような結果になると思いますか?
・なぜ私たちは犯罪者に刑罰を科すのでしょうか?
・人はなぜ犯罪を起こすのでしょうか?

こういった質問を多く載せて、議論しながら考える結果として、若者が社会や政治に参加するという流れができていると見ることができます。

対して日本ですが、これまでの知識記憶型の「公民」教育の結果、社会参加や政治に関心を持たない人が増えている可能性を否定できません。何のための「公民」教育かを今一度考えて、見直すことを検討するべきときが来ているように思います。

(「スウェーデンの小学校社会科の教科書を読む」から引用させていただきました)

究進塾塾長:並木陽児

「最高の教育をどこにでも」という理念でオンライン個別指導サービスを届ける究進塾の代表。
日頃、受験生と向き合っている経験から、勉強法など受験生に役立つ情報を提供して行きます。
指導科目は化学。東京大学工学部卒。 趣味は合気道。横浜ベイスターズのファン

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