2022/8/24

高校物理を固めるのにかかる期間

「これまで定期テスト対策すらちゃんとやってこなかったので、ほぼゼロの状態なんですが、これから本格的に、大学入試に向けて頑張りたいと思います。間に合いますか?」

当塾に最初にいらっしゃる生徒さん、もしくは保護者様に一番多いご相談はこういった内容です。特に、高校2年生の間にご相談に来るパターンが一番多いですが、遅い方では高校3年生、もしくは浪人中の方もいらっしゃいます。

これまで過去のブログで、数学、化学について、大まかな期間について書きましたので、今回は物理(物理基礎+物理)についてお話ししたいと思います。

物理は、学校準拠問題集(セミナー、エクセル、リードαなど)ではだいたい25章程度の構成になっています。

この準拠問題集を固めて行く、というのが最もオーソドックスでありシンプルな方針です。

まずは、毎週個別指導を受けながら進めて行く、という前提で話をしましょう。

例えば、週1回2時間の授業を受けるとした場合、1回の授業で平均1章ずつ進むのが、当塾で指導する場合の一般的な進度です。週1回の授業を受けて行くとすると、全範囲を1周終えるのに、約25週かかります。1カ月=4週とすると、25÷4=6.25カ月ですが、少し余裕を持って約7カ月としておきましょう。

1週間に平均1章進むとした場合、全範囲1周終えるのに、約7カ月かかる

というのが結論です。では、7カ月で成果が出るの?と言いますと、残念ながら、ほとんどの生徒では成果は出ません!1周しただけでは、物理の問題は解けるようにはなりません。学んでから時間が経った知識、公式の使い方などは抜けてしまっています。ですので、どんなにできる生徒でも、最低限もう1周する必要があります。

ちなみに、2周目で使用する問題集は、1周目と同じものを使うか、1ランク上の入試実戦問題集や名問の森などを使用するかは、1周目の解け具合によるでしょう。

では、2周目はどのくらいかかるのか?

2周目に必要な期間=1周目の半分強 というのが私の経験です。約4カ月としましょう。

また、実際のケースでは、2周目を終えた時点で、すぐに志望校の入試問題で合格点が取れるという生徒は半分もいない程度の割合です。3周目に過去問演習をしつつ、苦手単元を埋めて行く、というのが理想形です。3周終えれば、ほとんどの生徒に成果が表れてきます。ただ、3周目は2周目の半分程度の約2カ月程度はかかります。

ここまでで、

【1周目】7カ月
【2周目】4カ月
【3周目】2カ月
【合計】1年1カ月

です。入試時期=高校3年1月とすると、高校2年の12月から開始しないと間に合わない計算になります。

もちろん、これは授業内で基礎的な知識も説明をして行く前提なので、予習型で(=自力で)進めて行ける場合は進度は早くなります。ただ、これまでの指導経験から言えることは、学校の授業をしっかり聞いてきた生徒は予習型も可能ですが、そうでない生徒だと、かなり難しいでしょう。割合的には、当塾にいらっしゃる生徒さんの中で予習型の学習ができる方は5%に満たないのが現実です。

その他、なんとかして早める方法としては、

「2倍のペースで進める」

という方法があります。これも不可能とは言い切れませんが、かなり困難です。と言うのも、上記の「1週間に1章進める」という場合には「1日3時間×週3日=週9時間」程度の自習時間を前提としています。

ですので、もし「1週間に2章進める」という場合、週18時間(=9時間×2章分)の自習時間が必要となります。ちなみに、この場合の達成目標は、あくまで「問題集の問題が80%以上の正答率で解けること」ですので、もっと少ない自習時間でそれができるという方も当然います。

ただ、これまでの個別指導経験から申し上げると、どんなに理解度の低い生徒でも上記の目標を達成するためには、1章につき週9時間程度の自習時間が必要です。

そうすると「1週間に2章進める」という計画は(ただ進むだけでは全く意味がないので・・・)そう簡単ではないことがおわかりいただけるかと思います。

最後に、ここまで書いた物理の学習計画は、自習でももちろん実現可能です。ですので、参考書を読んだりまとめたり、スタディサプリやYouTubeの映像授業を利用しながら進めることももちろん可能です。もしかしたら理解力のある方はもっと早い進度での達成が可能かもしれません。

ただ、究進塾では、「理解力の低い方でも、そしてゼロからでも学力を上げるには・・・」という視点を最も重要視しているため、そのような前提で書いています。

大学入試の知識は膨大なので、入試問題で安定して得点できるためには、物理的な時間というのは絶対的に必要、ということをご理解いただければと思います。

では、現実問題として、当塾の講師が入試まで1年1か月を切って担当した場合は、どうするのか?という話をしておきます。

この場合、「何を優先するか?」という選択になるでしょう。高校物理では一般的には、①力学 ②電磁気 ③波動 ④熱力学 ⑤原子 というのが単元別の優先順位ですが、模試の結果やヒアリングなどをしながら、優先するべき単元を見つけて行く、さらに学校の定期試験対策を上手く利用するといった要素も加味しながら舵取りする必要があり、まさに講師の腕のみせどころとなります。

 

<この記事に登場する参考書>
第一学習社『セミナー 物理基礎+物理
実教出版『エクセル 物理
数研出版『リードa 物理基礎

究進塾代表 : 並木陽児

大学受験生に化学を教えています。趣味は読書と野球観戦(ベイスターズファン)、カレー食べ歩き、子供の遊び場開拓。1児の父として子育てしていることから、最近は幼児教育にも関心を持っています。

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