2023/6/2

古文参考書「スタートから大学入学共通テスト・中堅私大まで」

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この記事は、高校1年生から浪人している方まで、いろいろな方がお読みになっていると思います。

「古文という科目を何とかしたい!」という気持ちは皆さんに共通しているはず。とっつきやすくはない科目だけに、「何をしていいのか」わからないまま動き出すと、とても不安ですよね。また、やみくもに参考書を買い続けることは、勉強時間の浪費と、お金の浪費につながります。

しかし、「苦手」でも、正しい参考書を正しく使うことで、みなさんの先輩方はちゃんと入試を乗り越えています。特別な才能は、一切いりません!

やった分だけ成果につながる、そして入試問題にしっかりと対応できるようになる、そんな参考書と、その使い方をしっかり知っておいてください。

したがって、今回の記事では、多くの人が受験するであろう「大学入学共通テスト」、そして、おおむね「偏差値50~60程度」の私立大学入試で求められる古文に対応するための「実績のある」参考書をご紹介します。

※今のご自分の学力を見定めるためにも、可能であれば実際に書店などに行かれ、手に取ることをおすすめします。

1.はじめに

古文が苦手な受験生は多いと思います。現代日本語とも異なり、かといって外国語とまでもいえない。しかし、近年はそのギャップを埋めるよい参考書がたくさん出ています。場合によっては、学校で採択している参考書がとてもよくできていることもあります。過度に心配しないことです。

さて、大学入試の古文は、

・単語

・文法

・読解

・古文常識、文学史

の4分野から構成されています。共通テストと多くの私大では「古文常識、文学史」の比重が少ないため、この記事の最後で述べます。

すると、「単語」「文法」「読解」の三つですね。

大変だと思われるかもしれませんが、この三つは基本的に「同時並行」で学習する必要があります。なぜかというと…こんな困ったことが出てきてしまうのです。

「単語」を最低限インプットしないと、「読解」ができない。

「読解」が何となくできても、解説の「文法」がわからない。

「文法」は完璧だけれど、いざ読むと「単語」でつまずく。

こうならないためには、常に三つのことを同時に、コツコツ進めていく必要があります。少しずつで構わないので、ペースについては学校の先生や、塾・予備校の先生に相談しましょう。

ではまずその三つについて、参考書の特徴と学習方法について、説明していきます。

2.古文単語は、好みが大事!

古文単語集も、たくさん出版されていますが、主に【イメージ型】と【ゴロで覚える型】の二つに大別されます。どちらかを、皆さんのお好みで選ぶのが大事です。

いずれのタイプを選ぶにせよ、古文単語は「1日5単語」のように少しずつ進めるよりも、多少雑でもよいので、「1日30単語」のように、ある程度の範囲を一気にこなしましょう。そして1冊やり終えたら、反復する。これを入試までしっかり続けることが大切。

【イメージ型】

2-1『ビジュアル図解 古文単語』古文アレルギーの強い人、単語をイメージで覚えていきたい!という人にお勧めの単語集です。図が多く用いられており、横書きでもあり、現代人の感覚をフル活用して覚えられます。また、文章も最低限なので、文章アレルギーの人にもお勧めです。ところどころスペースが空いているので、過去問で出てきた単語を書き込む、など活用できそうですね。

共通テストのみという方は、この一冊で十分です。私立大学がメインの人は、少し収録語数が足りないと感じるかもしれませんが、まずは一冊を完璧に仕上げましょう。

2-2『日々古文単語帳365 (駿台受験シリーズ)

2-1よりも収録語数が多く、少し細かい取り上げ方をしています。

私立大学の上位(偏差値60前後)も視野に入れたい方は、こちらを使うとよいでしょう。

単語集の中にテストがたくさん入っているので、より試験に対応したものとなっています。

【ゴロ型】

2-3『古文単語ゴロゴ

とにかく時間をかけず、覚えやすいものを!」という人にはこちらがお勧めです。

かなり強引なゴロもありますが、イラストと合わせて「記憶に残る」ということ、収録単語数が多いことはプラスです。また、類義語が整理されているところも便利なところです。

3.文法問題は、基本から着実に!

文法問題集にいきなり取り掛かるよりも、ここで挙げる「ノート型」の参考書を丁寧に仕上げましょう。まずは「形」をしっかり頭に入れてください。品詞分解・識別問題など、難しく思える問題も、基本的な知識の組み合わせです。

できれば、文法については短期間、長くても1か月で1回固めます。そして、苦手なところは繰り返し練習する。そして、早い段階で過去問にあたっておきましょう。

3-1『ステップアップノート30古典文法基礎ドリル (河合塾シリーズ)

3-2『ステップアップノート30古典文法トレーニング (河合塾シリーズ)

両方とも、ほとんどは「図表」と覚えるべきポイントが簡単に書かれています。

3-1については、長くとも1か月で終えたいところです。単元が30になっていますが、浪人生の方など、時間のある人は1日3単元ぐらい進められます。

3-2も同様の体裁になっていますが、やはり「文章の中で、解いて覚える」ということが入試では一番大切なこと。そして後半には入試頻出の「識別問題」がまとめられています。この二冊を完璧に仕上げて、あとは過去問にどんどんチャレンジするのがよいでしょう。

4.読解問題は、短めのものから始めよう!

読解問題も、早めに始めることをお勧めします。単語・文法の知識を「どうやって使っていくか」を学ぶには、ある程度の長さの文の中で考える練習が不可欠です。

4-1『古文解釈はじめの一歩―文法から解釈へ (駿台受験シリーズ)

非常に短い文から、文法・単語の知識をどうやって使えばよいか、確認しながら読み進める参考書です。特筆すべきなのは、「主語」や「省略」といった、初心者の人が一番つまずく箇所について、とても丁寧に解説してある点です。ほかにこうした参考書が少ないので、ぜひ読み込んでおきましょう。多少、文章がかたくるしく感じるかもしれません。また、共通テストのみで古文を利用する方にはオーバーワークです。

4-2『古文―高校中級用 (発展30日完成 (42))

実際には、前半で文法の復習も入っています。3-2『ステップアップノート30古典文法トレーニング (河合塾シリーズ)』に入ってから。また、4-1『古文解釈はじめの一歩―文法から解釈へ (駿台受験シリーズ)』をやり終えてから取り扱うようにしてください。

後半が実際の入試問題も含む演習編です。頻出の文章がたくさん入っているので、こちらでまずは読解の練習を積んでいきましょう。時間のない人、理系の方は、もう共通テスト(旧センター試験)の過去問にあたってもよいでしょう。

4-3『古文上達基礎編読解と演習45

少し誌面が細かく、読みづらい箇所があるかもしれません。しかし、「入試問題への橋渡し」としては最適の本です。この本でも、文法の復習があります。苦手な人は、ここの復習をするだけでも、入試直前に役立ちます。

実践編では、共通テストよりも少しだけ易しめの問題から、私大の基礎固めになる問題まで、一通り入試問題に触れることができます。多読することが求められる文系の人は、実践編だけをやる、といったやり方でもよいと思います。

5.さらに得点力を高めたい方は、こちらを

今までに挙げた参考書だけでも、入試合格点レベルまでは十分に到達できます。

しかし、私立大学などで、さらに特色のある問題が出題される場合は、補助的に次に挙げる参考書を適宜、使えるようにしましょう。

5-1『速読古文常識

一言で「古文常識」といってもなかなかイメージがつかない方もいるでしょう。しかし、「男女のやり取りの方法」や「天皇家を中心とした貴族の価値観」と言われれば、すこしイメージがつくかもしれません。そういった知識を、短めの文章と一緒に学べるのが本書です。和歌や、難読字の読み方についても触れられています。

5-2『SPEED攻略10日間国語和歌

和歌(短歌)の知識については、この一冊で十分です。非常に薄い本ですが、今までの2~4をしっかり終えた後に取り組むことをお勧めします。最低限の知識しか書いてありませんので、逆に言えば難易度は高いのです。和歌は解釈次第では何通りにでもなるものですが、実際には文章の流れで類推する場面がほとんどです。知識については、入試では最低限でよいのだ、と割り切っておいてください。

5-3『文学史サブノート―高校中・上級用 (発展30日完成 (44))

文学史の配点については、過去問を参照してください。センター試験のように、忘れたころに出てくる程度の頻度であれば、特別な対策は必要ありません。「国語便覧」や、学校の教科書の巻末にある一覧表などを見ておけばよいでしょう。ある程度対策が必要な方であっても、こちらで挙げた参考書以上のことは必要ありません。無味乾燥な暗記が多いので、入試直前に一気に仕上げてください。

6.まとめ

今回は、古文のおすすめ参考書を紹介してきました。

こちらで挙げた参考書でなければならない、ということはありませんが、いずれも歴史と定評のある、バランスの良い参考書です。「まず何をしたらよいか」という悩みのある方は、ぜひ参考にしてください。

大事なことは、「単語だけ」というように、一つの分野だけを進めていくのではなく、「単語」「文法」「読解」を、少しずつでもよいので「同時に」進めていくことです。

そして、とても大事なのは、「過去問」です。自分の今のレベルと志望校のレベルと相談し、場合によっては問題集を追加したり、先生に相談したりしながら、入試へ向けて頑張っていきましょう。

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