2023/12/12

【なるほど経済学!】マクロ経済学講義-第1回「GDPと三面等価について①」

こんにちは。究進塾 編集部です。

今回は、塚田先生の「マクロ経済学」の講義をご紹介します。

企業活動、GDPなど、基礎的な単語の説明と、マクロ経済の指標である「GDP」とはどういうものか、そのGDPが持ってる「三面等価」と呼ばれる性質がどういうものなのかを解説します。

📝この記事のポイント
・GDPとは何か?
・GDPがGDIとなぜ等しいのか?
・GDIの内訳
・GDPのGとは何か

はじめに
こちらの記事は、YouTubeチャンネル「【究進塾】塚田先生のなるほど経済学」『マクロ経済学講義-第1回「GDPと三面等価について①」』を参考に、経済学についてご紹介しています。音声を聞ける環境の方は、ぜひ動画をご覧頂き、塚田先生の講義の雰囲気を掴んでいただければと思います。

動画紹介
マクロ経済学講義-第1回「GDPと三面等価について①」(所要時間:23分23秒)

講師:塚田憲史
筑波大学第三学群社会工学類卒業、東京大学経済学研究科博士課程単位取得退学。東京大学経済学部における学部向けのミクロ経済学のTA、学部及び大学院向けの経済数学のTA、成城大学で非常勤講師を経験。当塾では慶応大学、早稲田大学の学生を中心に経済学の補習で活躍中。経済学系の大学院入試対策も指導可能。親しみやすく、生徒と二人三脚で目標に向けて進めて行く指導が特徴です。大学補習コースの詳細はこちら。

 

マクロ経済学における企業活動

「GDPとは何か」を考えるにあたり、まず「マクロ経済学における企業活動とはどういうものなんだろう」ということを考えていきます。

世の中には色々な企業がありますが、パン屋さんで例えて見てみます。

パン屋さんはパンを作りますが、そのパンを作るために「どういうアイテムを集めてパンを作るのか」ということを考えます。

例えば小麦、砂糖、電気・ガス・水道などを使ってパンを作ります。

それ以外にもパン焼き職人がいないといけません。店員さんも必要ですし、パン焼きのオーブンなど、色々な機械がないといけません。

あとは店舗そのものが必要です。そして店舗を建てる土地があります。

これらのものが相まって、パンというものを作っています。

マクロ経済学では、イラストの左側にある「パンの元になっている色々なもの」をいくつかに分類していきます。

どうやって分類するのかというと

・このパンを1つ作るにあたり無くなってしまうものか
・パンを何個作っても使い続けられるものなのか

そういうところで、この左側にある「パンを作るにあたって必要なもの」を分類します。

パンを作るに当たってなくなってしまうものたちが、小麦粉、砂糖、電気・ガス・水道などです。これらはパンに変わってしまいます。こうしたアイテムを、マクロ経済学では「中間投入財」と言います。

そしてこの中間投入財と、それ以外のアイテムを分けますが、それ以外のアイテムは3の種類に分けられます。

1つは、パン焼き職人や店員さんのような「労働力」と呼ばれる存在です。

もう1つは、わかりやすいところで説明すると「土地」です。ビジネスをするには必ず土地が必要です。それがもし借りているものであっても、ビルの上でも、どんなところでも土地は必要です。

土地の上に建っているお店、そしてそのお店で使われる機械のようなもの、それらを全部まとめて「資本」と呼びます。

資本は一番範囲が広いです。中間投入財とは反対に、何かを作るにあたって使い切らないものを指す「生産要素」のうち、労働と土地以外のものをすべて「資本」と呼ぶので、資本というのはかなり幅広い概念だと思ってください。

資本という言葉

「資本主義」という言葉にも使われているので、資本と聞くと「お金」や「ビジネスを始めるにあたって必要な元手のこと」を資本と考えがちです。

それはもちろん間違っているわけではなく、会計学などではビジネスを始めるにあたって最初に用意しておくお金のことを「資本」と呼んだりします。

経済学の「資本」とは

経済学でいう「資本」というのは、結局何のために必要なのでしょうか。

会社を興すにあたり資本をみんなから集め、あるいは銀行からお金を借りて、その資本と負債を持ってきます。

そのお金を使って、ビジネスをするのに必要なものを買うわけです。

オーブン、店舗、機械、コピー機など、そのビジネスをするにあたって必要なものを、会計学では「資産」と呼びますが、経済学では「資本」と呼びます。

ですのでここでは、資本と言うときに思い浮かべて欲しいのはお金ではなく、むしろ工場のようなイメージです。

経済学で使う用語のイメージ

資本 :工場
労働力:人間
土地 :土地

労働力と資本と土地が合わさってこの「パン屋」というビジネス、つまり企業活動をするわけです。

そして中間投入財を使ってパンを作り、このパンのことを「生産物」と言います。

企業活動のお金の流れ

下の図の赤い矢印は、お金の入りを表します。

企業というのは「労働力」「資本」「土地」という3つの生産要素を持ち寄ってできており、その企業に中間投入財を投入すると生産物ができる、という仕組みになっています。

企業は出来上がった生産物をみんなに売ることによって、お金が入ります。

そして企業は中間投入財を買っているので、それにお金を払わないといけません。しかし労働や資本や土地には、直接お金を払えません。

GDPとは

企業は生産物から中間投入財に払ったお金を「付加価値」と定義します。

この付加価値が非常に重要で、全ての企業の付加価値の合計が「GDP(Gross Domestic Product)」です。

“Domestic Product” とは「ある一国の一定期間における経済活動の規模を測る指標」を指し、「一定期間」というのは典型的には1年間で、その間に生産された付加価値の合計を示します。

そのため日本語ではGDPを「国内総生産」と呼び、「国内で1年間に生産された付加価値の合計」を指します。

付加価値の分配

企業は生産要素を持ち寄ってくれた皆のおかげで成り立っており、中間投入財を生産物に変換することによってお金、いわゆる「儲け」を手に入れている、という考え方をします。

小麦や砂糖などをうまく組み合わせて付加価値をつけ、パンにして売った時の付加価値の部分が「儲け」ということになります。

では企業を成り立たせるために、付加価値は生産要素・労働資本・土地を提供してくれた人たちに分配されないといけません。

その労働に対する付加価値の分配を「賃金」と言います。

一方、資本に対する付加価値の分配に関してはかなりややこしいです。

資本の提供にも色々な形がありますが、資本を提供してくれるということはそのビジネスにあたって必要な機械を提供してくれる、ということです。

たとえば、直接その機械を貸してくれたとしたら、それは「レンタル料」となります。

また、この資本を買うためのお金を貸してくれたら「利子率」、そして企業を始めるにあたって必要なお金を投資し企業の持ち主になってくれたら「株主」です。

株主には「配当」を配らないといけませんし、土地を貸してくれている人には「地代」を払わないといけないことになっています。

このように、付加価値というのは、これらの生産要素を貸してくれた色々な人たちに分配されていきます。

経済統計における付加価値の分類

国の経済統計では、賃金・レンタル料・配当・地代などのようには細かく分かれておらず、もう少し大雑把にわかれています。

賃金の部分は、GDP統計では「雇用者報酬」という名前がついています。

雇用者報酬などに払った後に残った付加価値の部分を「営業余剰」と言います。

この営業余剰が、いわゆる資本や土地に支払われる部分です。

基本的にビジネスをするにあたって力を貸してくれる人は「土地」「資本」「労働者」の3者です。

ですから、この3者に付加価値を払い切ったら終わりと言えば終わりなのですが、実はもう2つ、この付加価値を分配しないといけないカテゴリーがあります。

まず1つ目は政府です。政府に対して“ショバ代”にあたる「間接税」を払います。逆に政府から補助金をもらうときもあります。

そして2つ目に、このやり取り以外でもう1つ重要な要素である「固定資本減耗」と呼ばれるものがあります。

固定資本減耗とは

世の中には本当に色々な資本が溢れています。世の中にあるビルや建物、工場、椅子、道路なども全部資本です。

皆さんの身の回りにあるものはすべて資本であり、ビジネスをするにあたって必要な道具ですが、これらは1年間で生産をするにあたり少しずつ壊れていきます。

その壊れた資本をどうにか補填しないと、次の期の生産活動ができなくなります。

こうした壊れた資本を金銭的に評価したものを「固定資本減耗」と言います。

この固定資本減耗という付加価値を一旦金庫に、実際には銀行に預けておきます。

例えば工場が1個壊れたら、企業はそこからお金を他の企業に出して、壊れた分、つまり新しい工場を買ってくるというイメージです。

付加価値のうごき・企業は中間投入財から生産物を作り出し、その差額の付加価値を生み出す。

・生み出した付加価値を、労働者には雇用者報酬、政府には純間接税(間接税-補助金)という形で渡す。

・資本を作り変えるためのメンテナンス費用として、固定資本減耗という形で取っておく。

・残ったお金が営業余剰として土地や資本に支払われる。

これを分配面から見ると、GDPは「GDI(Gross Domestic Income)=国民総所得」というものと一致します。

国民総所得=雇用者報酬+営業余剰+純間接税+固定資本減耗
(※純間接税=間接税-補助金)

この固定資本減耗という単語は、新しく覚える言葉であり難しい言葉なので、しっかり覚えておきましょう。

固定資本減耗とGDPの算

固定資本減耗というのは、新しく生み出される資本と壊れていく資本を考えたときに「壊れていく資本が毎年いくらになっているか」を計ることですが、中には「固定資本減耗なんて払っていない」「考慮していない」という企業もあります。

本当は固定資本減耗として付加価値を貯めておかないとビジネスが続かないのに、実際はその固定資本減耗を払わずにすべて営業余剰に回し、資本は壊れるに任せて使い続け、もし壊れてしまったらビジネスを畳むというやり方をする企業や事業所です。

それも1つの意思決定の手法として、間違っているわけではないです。

ただし、仮にそういう企業がもし存在したとしても、日々世の中に存在する資本が壊れていくのは確かですし、国全体として儲けがどれぐらいになったのか、国全体の経済活動の規模がどのぐらいだったのかを計算するときに、この固定資本減耗分をちゃんと加えておかないと「GDP」にはならないということです。

GDPの算出の難しさ

この固定資本減耗というのはかなり厄介です。

先ほど述べたように、企業によっては計上していたりいなかったりするわけです。

さらに物が壊れると言っても、大事に使った時とそうでない時でまた違います。

例えば、何かのビジネスのためにカメラやパソコンを買ったとして、それを丁寧に使うのと荒々しく使うのとでは壊れ方が違います。長く使おうと思ったものが予想に反してすぐに陳腐化してしまうこともあります。

ですから、固定資本減耗を正確に測り、GDPの真の価値=”この国の経済の真の価値”のようなものを測ることは非常に難しいのです。

GDPとは何か

GDPは「Gross Domestic Product」の略です。

「国内総生産」という言葉のどこに何が対応するのかというと、

ドメスティック=国内
プロダクト=生産
グロス=総

このようになります。

「総」の意味するところについて、例えば「沖縄から北海道まで全部含めて総合だから総なんだ」と思っている人も多いかもしれません。でもそれは違います。

この「総」というのは「粗く考えたときの国内生産」ということを意味しています。

日本語で言うと「粗」が「Gross」に相当する言葉です。

そしてGrossという言葉を考えた時に、Grossの反対語は「Net」です。先述した「差し引きした時の値」のことです。

Gross:総、粗
Net :純

GrossとNetと固定資本減耗の関係

例え話にすると、何か物を運びたくて宅急便で物を送ろうと思います。

宅急便で物を送るときには重さを測りますが、その重さで料金が決まります。

その重さをダンボール箱込みで測るのか、ダンボール箱抜きで中身の重さだけを測るか、これがGrossとNetの違いです。

ですから、日本の真の儲けが知りたい場合、Netの国内生産、つまり「NDP(Net Domestic Product)」を計算しないといけません。

このNDPとGDPを分ける”箱”とは何かというと、これが固定資本減耗です。

固定資本減耗を正確に測るのは難しく、さらに国ごとに計り方の差もあります。

そのため全ての国を平等に評価するためにも、”箱込みの重さ”で荷物を比べた方が便利であるため、GDPを使っているわけです。

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☆YouTubeの動画授業では、第2回「GDPと三面等価について②」以降も公開中です。ぜひご覧ください。

おわりに

究進塾では、無料体験授業を行っています。受講にご興味のある方、ご質問や不明点がある方は「無料体験授業をご希望の方」からお気軽にお問い合わせください。

究進塾 編集部

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