2024/3/4

2024年度英検リニューアル~新形式の変更点について解説~

英検の問題形式が2024年第一回の試験からリニューアルされることが日本英語検定協会から発表されています。3級以上の級(1級、準1級、2級、準2級、3級)で変更点があります。級によって変更点は異なり、単語問題や文法問題が減る、試験時間が長くなるなど様々なのですが、最も大きな変更点としては、

ライティングのセクションで英作文の問題が1題から2題に増加する

この点が受験生に大きく影響を与えることになります。特に受験者が多い2級と準1級ではこれまでにはなかった要約問題が出題されることになっています。長文の要約の練習をしたことがある中高生はさほど多くないと思いますので、その対策に十分な時間を割くことが合格する上では重要になってきます。

それでは各級の出題形式の変更点についてそれぞれ見ていきましょう。

<1級>
【リーディング】
・合計問題数が41問→35問へ減少
・大問1の短文の語句空所補充(単語問題)→3問削除
・大問3の長文の内容一致選択→3問削除
【ライティング】
・意見論述1題→「意見論述1題+要約問題1題」の計2題に変更
【リスニング・スピーキング】
・変更点なし

<準1級>
【リーディング】
・合計問題数が41問→31問へ減少
・大問1の短文の語句空所補充(単語問題)→7問削除
・大問3の長文の内容一致選択→3問削除
【ライティング】
・意見論述1題→「意見論述1題+要約問題1題」の計2題に変更
【リスニング】
・変更点なし
【スピーキング】
・受験者自身の意見を問う質問(No. 4)に話題導入文を追加

<2級>
【リーディング】
・合計問題数が38問→31問へ減少
・大問1の短文の語句空所補充(文法問題など)→3問削除
・大問3Bの長文の内容一致選択→4問削除
【ライティング】
・意見論述1題→「意見論述1題+要約問題1題」の計2題に変更
【リスニング・スピーキング】
・変更点なし

<準2級>
※筆記試験(リーディング+ライティング)の試験時間が75分→80分に延長
【リーディング】
・合計問題数が37問→29問へ減少
・大問1の短文の語句空所補充(熟語・文法問題など問題)→5問削除
・大問3Bの長文の内容一致選択→3問削除
【ライティング】
・意見論述1題→「意見論述1題+Eメール問題1題」の計2題に変更
【リスニング・スピーキング】
・変更点なし

<3級>
※筆記試験(リーディング+ライティング)の試験時間が50分→65分に延長
【リーディング】
・変更点なし
【ライティング】
・意見論述1題→「意見論述1題+Eメール問題1題」の計2題に変更
【リスニング・スピーキング】
・変更点なし

全体として言えることは、リーディングの単語問題や文法問題などの知識系の問題数が減り、その代わりにライティングの問題が増えているという点です。単語問題などは知識さえあれば一瞬で回答できる問題も多い一方で、ライティングの要約問題などは長文を読むだけでなく、文章構成を考えたり実際に書く時間もかかりますから、以前の形式と比較すると明らかに時間的な負担は増えると考えたほうが良いでしょう。

もともと英検自体がライティングで高得点を出せば受かるなどと言われていたり、1級などの上位の級に関しては単語ゲーなどと指摘されたこともありました。実際にその傾向は強くあり、これまでのライティングは問題数がたった一題だけだったにもかかわらず、リーディングなどその他のセクションと配点は一緒でしたから、他のセクションの対策をするよりはライティングに注力した方が効率よく最短距離で合格に辿り着けるという状況でした。また、1級や準1級のように級が上がれば上がるほど単語問題の難易度は格段に上がるため、単語対策を徹底している人とそうでない人ではリーディングのスコアに大きな違いが生まれていたということもあります。

今回のリニューアル後も引き続きライティングの重要度は高いままと考えるのが妥当ですが、各セクションの学習バランスをいま一度考え直す必要はあるでしょう。またその他にもスピーキングで若干の変更点はありますが、この点はおそらくほとんど受験生に影響はないであろうという程度の軽微な変化だと考えて問題ありません。また、これまで単語問題で点数を稼いでいたという受験生にとっては明らかに改悪された形式となってはしまいましたね、、、単語暗記のみで突破するのではなく四技能全てのセクションで効率良く得点を重ねる学習法を見つけることが大切です。

今回新たに追加された要約問題は、実は東大の入試では毎年出題されている問題形式で、英語力を測るためには非常に有効な形式であるのも事実です。要約は解答を作成する上で重要になるポイントがいくつかあるのですが、ライティングを独学で習得するのは非常にハードルが高いと思っています。私も生徒のエッセイを添削する機会があるのですが、超進学校に在籍している人でさえも、初歩的な文法ミスを連発したり、問いの答えになっていない文章を書いてしまったり、文脈の繋がりを無視したメチャクチャな構成になっていたりすることが多く、ライティングを書くというのは誰にとっても本当に難しいことなんだなと実感しています(添削する側の人はみな共感していただけると思います)。

近日中に要約問題の対策を中心にライティング対策に関するブログをアップする予定ですので、楽しみにお待ちください。

松本先生

ICU(国際基督教大学)卒。物腰が柔らかで話しやすく、生徒の性格に合わせた指導が特徴の英語講師です。大学受験英語のほか、四技能指導を得意としており、英検やTOEIC・TOEFLなど英語資格試験の指導でも活躍中。

 

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