2024/1/11

中高一貫校生の目標設定の仕方

ここ最近、中高一貫校に通う方の入塾のご相談や保護者面談に参加していてふと気が付いたことがあります。

それは、上手く行っていないケースでは、塾や家庭教師を取り過ぎて、本末転倒に陥ってしまっているケースが多く見受けられるということです。

当塾には、中学3年から高校1年頃にいらっしゃる方が多いのですが「学校の成績は概ね順調なんですけど・・・・」というケースは非常に稀です。むしろ、個別指導塾ということもあって、苦手科目についてご相談いただくケースが多く、中には「ほぼ全科目上手く行っていません」という方もいらっしゃいます。

私は「学校の定期試験の成績を上げることがシンプルかつオーソドックスでありながら、最も効率的な正攻法である」「模試の結果は高2までは気にしなくてよい」というポリシーを持っていますので、学校の定期試験の成績を見て、低迷している科目について原因を探って行くのですが、その際に、中学入学時以降の塾や家庭教師歴を質問します。

「塾に通ったことはありません」と言う方については、入塾後にやるべきことはシンプルで、担当講師がついて、学習習慣が身に付けば自然と上がって行くだろうという道筋が見えます。

ですが、一定程度の割合で、すでに塾に通っているケース、中には複数の塾を併用しているケースや、転々としているケースがあります。むしろこちらのパターンの方が多いのですが、こういった場合は、やや注意が必要です。

というのは、本来であれば学校の成績を上げることを最優先にするべきなのに、他に塾に通うことで負荷を増やしています。その結果として成績が上がっていない。さらにはそこに向き合っていないことが多いからです。

よくないと思う順番に、一つずつ見て行きましょう。

まずは複数の塾を併用しているケース。
これは、通学時間や拘束時間、そして予習復習や課題も含めて、負担を増やしています。なんとなく合格実績がある、評判がよい、ということで塾を選んではいないでしょうか?
具体的に当塾にいらっしゃる方から名前を聞くのは、駿台、SEG、鉄緑会、グノーブルなどです。こういった塾はもちろん合格実績は素晴らしいのですが、ついて行くのはとても大変で、学校との両立はなおさら困難です。今一度「学校の成績を上げる」という原点を見つめ直しましょう。

そして、塾を転々としてきたケース。
これも要注意です。なぜなら「なぜ結果が出ないのかの原因分析を適切に行い次に生かしていない」という点と「短期的な視点ばかり見て、長期的な視点を持っていない」という点を孕んでいるからです。さらに、このケースが深刻なのは、保護者様が先回りして、「塾を変えた方がいいんじゃない?」「こんな塾あるよ」と促しているケースが少なからずあるからです。これは私がこれまで一貫してブログなどで書いてきたように、本人の自立を妨げます。
こちらのケースに該当する場合、保護者様がマインドを変える必要があります。「引き算」の発想で、できるだけシンプルにしましょう。「塾をすべてやめてみて、学校の定期試験に専念したらどうか?」というところから、足りない科目があるようでしたら、どんなサポートが必要かを考えましょう。

一つの塾に長く通っているケース。この場合、その塾が集団塾である場合は、低迷している原因はシンプルです。それは「塾では、学校とは別の単元・レベルを進めている」という点につきます。中高一貫校では早い進度で進み、その予習復習だけでも大変なのに、塾では全く別の単元を進む状況では、両立させることは容易ではありません。対策としては、学校の定期テスト対策に絞って、個別指導または家庭教師に変えるというのが有効でしょう。

最後に、もしも、これまで個別指導または家庭教師を受けてきたけれど、伸び悩んでいる場合。通常は個別指導や家庭教師では学校の定期試験対策をしてもらえるでしょう。この方法で成績が上がっていないとなると、もしかすると講師の指導力のせいかもしれません。こうなると担当講師の交替を検討してもよいでしょう。ただし、中高一貫校の定期試験はそれほどすぐに成果が出るとは限りません。特に英語はそれまで長くさぼっていたりすると、いきなり勉強をスタートしてもすぐには成果につながりにくい科目です。ですので、理解度や学習姿勢は改善されているけれど、定期試験の結果が出ないだけなのか、それすらも改善されていないのか、は見極める必要があります。個人的には、少なくとも定期試験3回分の推移は見ていただいた方がよいと思います。(もちろん、よほど相性が合わないなどの場合はそれまでに交替を検討してもよいですが・・・)。

まとめますと、中高一貫校で成績が伸び悩んでいる方は、以下のポイントを意識してみてください。

①定期試験の成績向上に専念する
②そのために、必要なサポートが何かを考える。(自習だけで可能ならばそれがベストだが、もしも難しい場合は個別指導か家庭教師が合理的)
③集団塾は、学校の定期試験の成績が安定的に上位をキープできており、さらに時間的な余裕がある場合のみ検討する。

話は少しそれますが、昨今、断捨離がブームになっています。その人気の秘密は、「持ち物が多すぎると、頭の中が整理されず、細かいストレスも溜まるし、判断も鈍くなる」それに対して、「持ち物を減らすことで頭の中が整理される」という点が多くの共感を呼んでいるからだと認識していますが、勉強法についてもこれが言えると思います。

「引き算」式に、シンプルに考えることが大切だと、様々なケースを見ていて痛感致します。

究進塾代表 : 並木陽児

大学受験生に化学を教えています。最近ハマっていることは、川遊び(ガサガサ)と魚の飼育です。

© 2001–2024 究進塾 All Rights Reserved.